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リベラル派とは?(本来の意味から具体的な政治家名まで)

2017年10月の衆議院選挙をめぐり、「リベラル派」という言葉が注目されています。

現在の政治では、リベラル派=反体制派・左寄りと捉えられているようですが、これは誤りというか、リベラルの言葉の意味が変質してしまっています。

そこで、日本の過去の政治に遡って、リベラルの意味とその変遷について説明します。



■そもそもリベラル派とは?元々は自由民主党の一部

★リベラル派=左翼・反体制派ではありません

すくなくとも1990年代までの日本の政治で、リベラル派というと自由民主党の当時の宮沢派(現在の岸田派)・高村派(旧三木派)に所属する政治家を意味していました。

ちなみに安倍首相は、自由民主党における最右派とされていた福田派(旧岸派)の出身です。

自民党では、最右派=憲法改正派という位置づけですので、安倍首相が憲法改正にこだわるのは、当然ともいえます。

実際、岸田派会長の岸田政調会長は、安倍首相の考え方に一度も賛同したことがないと述べていましたし、高村派(旧三木派)出身の野田聖子総務相も反安倍というスタンスです。

その主な政治信条は、①軽武装②経済重視③護憲

また、対外的には親中国という特徴もありました。

実際、防衛費の上限としてGDPの1%以内という今にも通じる原則は、当時のリベラル派の代表格の三木首相の時に設定されました。

現在の自民党では、宮沢派の流れを汲む岸田派がリベラル派といえます。

現存する著名な保守系の政治家だと河野洋平氏が相当します。

つまり、リベラル派とはそもそも保守政治を算数用語でいうところの全体集合とすれば、部分集合に相当する派です。

現在は、リベラル派=左翼・反体制派と捉えがちですがこれはリベラル派本来の意味から逸脱しています。

★アメリカにおけるリベラルと保守の違い

ちなみにリベラルの民主党と保守の共和党がほぼ交互に政権を担当するアメリカでは、
民主党も共和党も日本の政治の基準でいうと保守に含まれます。

米民主党をオバマ前大統領のイラク戦争反対・核兵器廃絶というようなスタンスから、民主党=リベラルを反戦の党、あるいは反体制の党ではないかと考える方もいるようですが、これは誤りです。

過去のアメリカの歴史を振り返ると、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争に参戦を決断したのは、いずれも民主党の大統領の時です。

リベラルを政治信条とする米民主党は、トランプ大統領率いる共和党より好戦的ともいえなくないのです。

ですので、リベラルと保守政治の本場といえるアメリカでは、リベラルは決して左派でも反体制派でも反戦派でもありません。

そもそも政権を担当する能力のある政党が反体制のはずがないのです。

このあたりが、リベラル派=左翼・反体制派と捉えがちな日本との大きな違いです。



■現在の日本の政治におけるリベラル派とは?

上記のように現在の日本政治では、リベラル派の本来的な意味が変質しています。
では、現在のリベラル派とはどんな意味となっているかというと

①憲法改正に反対 ②原発に慎重もしくは反対 ③安保法案に反対、さらにプラスとして安倍政権に反対という政治スタンスを持つ政治家がリベラル派とされています。

共産党と公明党に関しては、前者が共産主義=科学的社会主義を綱領にすえていること、後者が創価学会という宗教団体が母体ということで一般にどちらもリベラル派としてみなされていません。

■日本の政治におけるリベラル派に分類される政党と政治家

★リベラル派に分類される政党

衆議院解散後の小池百合子東京都知事が立ち上げた希望の党と民進党から分離した立憲民主党の誕生で、解散前より政党とその政治信条がかなりわかりやすくなりました。

現在の日本の政治における定義によるリベラル派に分類される政党は以下の通りです。
・民進党

・立憲民主党

・社会民主党
※プラスして自民党のリベラル派

★リベラル派に分類される主な政治家

・自由民主党
岸田政調会長 野田聖子総務相

・旧民進党、立憲民主党
蓮舫、岡田克也、枝野幸男、辻本清美

・社会民主党
福島瑞穂


■まとめ

上記のようにリベラルの意味が本来の立場からだいぶ変質しています。

すくなくとも1990年前半くらいまでは、保守の対抗軸は当時の日本社会党や共産党を中心とする左翼・左派でした。

左翼・左派は、冷戦の終結・ソ連の崩壊等によって、その影響力が低下していきました。

かつての日本の政治においては、保守=自由主義・資本主義体制を擁護、左翼=社会主義的な体制の確立を目指す という明確な対抗軸がありましたが、社会主義の総本山ソ連が崩壊したことで、左翼側は拠って立つ政治信条がなくなってしまいました。

そのため、日本の政治において、体制の選択という大きな対抗軸がなくなり、”体制内での政策の違いという”小さな対抗軸に取って代わられました。

そして、小さな対抗軸として浮上してきたのがリベラルなのです。

リベラルは、上記のように本来は、保守の一部を指していましたが、現在では、反体制という意味に変質しているのです。

ただ、リベラルといっても保守に近い政治家もいれば、旧左翼的な信条の政治家もいますので、単純に色分けするのは困難だと思います。