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相撲一門とは何?部屋の構成や理事選挙での役割★貴乃花部屋破門騒動を紹介

相撲一門とは、どんな役割があり、どのような歴史があるのか?また、理事選との関係や破門されて誕生した貴乃花一門について等、簡単にわかりやすく説明します。



■そもそも相撲一門とは何?その歴史や役割

①相撲一門とは?

相撲一門とは、政党で例えると派閥、家族でいうと親族のようなものです。

政党の派閥が党の中で首相候補とされるような有力な政治家を中心に形成されていく
のに対し、相撲一門は、横綱や大関まで昇進し、功なりを遂げた力士が引退後、親方となり、角界の有力者になることで発展していき、現在に至っています。

相撲一門きっての名門とされる出羽の海一門は、名横綱の常陸山 谷右エ門(ひたちやま たにえもん)が創始者とされています。

相撲一門には、力士の他、行司、呼び出し、床山等も所属しています。

また、どの一門にも属さない無所属の部屋も存在します。
現在は、湊部屋と錣山部屋が無所属となっています。

②現在の相撲一門と貴乃花一門形成のいきさつ

現在の相撲一門は、以下の6つです。

出羽海一門

二所ノ関一門

時津風一門

高砂一門

伊勢ヶ濱一門

貴乃花一門

このうち、貴乃花一門は、もっとも新しい一門です。

③地方巡業のために発展し、組織化

現在は、1年に6回、本場所が開催されていますが、昔は1年に2場所しか行われていませんでした。

日々の活動は、今でも全国各地で行われている地方巡業が活動のメインでした。
巡業は一門単位で活動していました。

そのため、相撲一門は、巡業組合という意味合いから、当初は「組合」とよばれていました。

地方巡業においては、部屋単位で行動していると巡業先の宿の手配や稽古場所や稽古相手に支障をきたすため、関係が近い複数の部屋がまとまって行動するようになるようになり、これが相撲一門として組織化・発展していきました。



④分家独立で相撲一門を維持・繁栄

2017年4月1日ブルガリア出身初の関取で大関まで昇りつめた琴欧洲が鳴戸部屋として独立を果たしました。

琴欧州は、それまで出身の佐渡ヶ嶽部屋の部屋付きの親方(年寄)でしたが、元大関ということで早くから、佐渡ヶ嶽親方から”独立していいよ”と言われていたそうです。

鳴戸部屋として独立する際に、同じ二所ノ関一門の佐渡ヶ嶽部屋から弟子数人を移籍させることでスタートをきることができました。

このように相撲一門は、分家独立によって相撲一門を維持・繁栄させるという役割も果たしています。

⑤部屋の承継問題を解決

相撲一門では、12の相撲部屋を抱える出羽の海一門をはじめ、複数の部屋から形成されています。

各相撲部屋で悩ましいことは、部屋の承継問題です。

というのは、巷のオーナー企業と異なり、親方に男の子がいたとしても力士にならないことが多いのが現状ですので、部屋の承継問題は、身近で深刻な問題です。

歌舞伎のように男の子がいれば自然に歌舞伎役者になれるわけではないことが承継問題を難しくしています。

また、親方・力士の平均寿命が一般人より短いこともあり、まだ、子息が小さいうちに承継問題がしばしば起きています。

このように部屋単独で解決できないような問題に直面した時に役に立つのが相撲一門です。
実際、承継問題が生じたときに、同門の他の部屋の部屋つきの親方が後継者となることで部屋が存続されるということも多いのです。

このことから、相撲一門は、各部屋の存続を維持させる機能も併せ持ち、角界を縁の下から支える互助会的な役割も果たしているといえます。

⑥相撲一門と同部屋対決について

現在は、1965年1月場所から導入された、完全部屋別総当たり制となっており、同門であっても部屋が異なれば対戦することになります。

1965年1月以前は、本場所では優勝決定戦等を除き一門系統別総当たり制で行われ、優勝決定戦以外で同門の力士が対戦することはありませんでした。

このようなことから、取組・対戦に関しては、相撲一門は以前より緩い関係となっています。



■一門から破門された事例

★九重部屋の出羽の海一門からの破門

一門から破門された事例は幾つかありますが、そのうち、もっとも有名で影響が大きかったのが九重部屋の出羽の海一門からの破門です。

現在、高砂一門に所属する九重部屋は、大横綱千代の富士や北勝海(現日本相撲協会理事長)をはじめとした有力力士を輩出した名門部屋ですが、元々は出羽の海一門でした。

元横綱・千代の山の九重親方が当時の出羽の海部屋と親方と承継問題を巡って対立し、破門されました。

その後、高砂一門に拾われ、現在に至っています。

★貴乃花一門の二所ノ関一門からの破門

2018年1月に行われた日本相撲協会の理事選挙は、通常選挙なみの関心を集めましたがその過程で貴乃花一門の動きが注目されました。

貴乃花一門は、元々所属していた二所ノ関一門から貴乃花親方が破門されたことにより誕生しました。

貴乃花部屋師匠の貴乃花親方が、2010年の理事選挙で、二所ノ関一門内の事前調整を拒否して独自に立候補。

これに大嶽部屋、阿武松部屋が支持を表明。

それに対し、二所ノ関一門から事実上の破門扱いを受けたため、貴乃花を軸とするグループが形成され、貴乃花一門となり、現在に至っています。

ちなみに貴乃花部屋は一代年寄り(横綱の中でも特に成績がよかった力士に特別に認められる一代限りの年寄りのこと、他に北の湖部屋)ですので、貴乃花部屋は、いずれ消滅することになります。

ですので、他の一門のように影響力を維持することは難しいのではないかと思います。

破門ではなく、一門から他の一門に移籍することもあります。

■所属していた一門から別の一門に移籍した事例

二所ノ関一門の2016年1月に尾車部屋所属の元関脇・琴錦が、一時閉鎖されていた伊勢ヶ濱一門朝日山部屋の親方になり、現在に至っています。

このケースは破門とは異なり、移籍について二所ノ関一門の了承を得ています。



■相撲一門と理事選挙

公益財団法人・日本相撲協会の理事は、定款により10名以上15名以内(うち年寄7名以上10名以内)と定められており、10名を内部(元力士である親方)から選んでいます。

相撲協会では、1968年に理事について選挙制度を導入、各一門は決められた人数だけ理事を出すことができる権利を有することになりました。

1986年以降は理事10名の枠を5つの一門に2名ずつ割り振り、割り振られた2名の枠に誰を立候補させるかを一門内部の談合により決定するようになりました。

このように日本相撲協会の体制は、政治に例えると相撲一門による連合政権ということもできます。

2018年3月大阪場所における相撲部屋の一門別部屋一覧と所属関取と最新の力士の番付は、下記の通りです。

■相撲部屋の一門別部屋一覧

2018年3月現在、出羽海一門,時津風一門,二所ノ関一門,高砂一門,伊勢ヶ濱一門,
貴乃花一門の6つの一門があります。

このうち最も古いのが高砂一門で、最も新しいのが貴乃花一門です。

最大勢力は、11の部屋を擁する出羽海一門で、過去、何人も相撲協会の理事長を輩出しています。

★出羽海一門(11部屋)

・出羽海部屋
関取 御嶽海(関脇)

・春日野部屋
関取  栃ノ心(関脇) 栃煌山(前頭11枚目)碧山(前頭17枚目)

・山響部屋
関取  不在

・玉ノ井部屋
関取  東龍強(十両3枚目)

・入間川部屋
関取  不在

・式秀部屋
関取  不在

・境川部屋
関取  豪栄道(大関) 妙義龍(前頭15枚目) 佐田の海(十両4枚目)

・尾上部屋
関取  不在

・藤島部屋
関取  不在

・木瀬部屋
関取  英乃海(前頭16枚目) 徳勝龍(十両4枚目) 臥牙丸(十両5枚目)
志摩ノ海(十両11枚目) 明瀬山(十両13枚目)

・武蔵川部屋
関取  不在

★時津風一門

・時津風部屋
関取 正代(前頭4枚目) 豊山(前頭11枚目)

・鏡山部屋
関取  不在

・井筒部屋
関取  鶴竜

・伊勢ノ海部屋
関取  錦木(前頭14枚目) 勢翔(前頭14枚目)

・陸奥部屋
関取  不在

・荒汐部屋
関取  蒼国来(前頭15枚目)

・追手風部屋
関取  遠藤(前頭筆頭) 大栄翔(前頭8枚目) 大翔丸(前頭13枚目)
大奄美(前頭16枚目)剣翔(十両7枚目) 大翔鵬(十両9枚目) 翔猿(十両13枚目)

・中川部屋
関取  不在

★二所ノ関一門

・佐渡ヶ嶽部屋
関取  琴奨菊(前頭3枚目)琴勇輝(前頭12枚目) 琴恵光(十両8枚目)

・片男波部屋
関取  玉鷲(前頭筆頭)

・峰崎部屋
関取  荒鷲(前頭2枚目)

・田子ノ浦部屋
関取  稀勢の里(横綱) 高安(大関)

・尾車部屋
関取  嘉風(前頭7枚目) 豪風(十両筆頭) 天風(十両7枚目) 矢後(十両11枚目)

・二所ノ関部屋
関取  松鳳山(前頭4枚目)

・芝田山部屋
関取  不在

・高田川部屋
関取  輝大士(前頭8枚目) 竜電(前頭9枚目)

・鳴戸部屋
関取  不在

・西岩部屋
関取  不在



★高砂一門

・高砂部屋
関取 朝乃山(前頭13枚目)

・東関部屋
関取  不在

・九重部屋
関取  千代大龍(小結) 千代丸(前頭1枚目)千代翔馬(前頭10枚目)
千代の国(前頭10枚目) 千代ノ皇王(十両6枚目)

・八角部屋
関取 北勝富士(前頭6枚目)隠岐の海(前頭9枚目)

・錦戸部屋
水戸龍(十両10枚目)

★伊勢ヶ濱一門

・伊勢ヶ濱部屋
関取 宝富士(前頭2枚目) 安美錦(十両2枚目)照ノ富士(十両5枚目)
誉富士(十両8枚目)照強翔(十両12枚目)

・友綱部屋
関取 魁聖(前頭6枚目) 旭大星(十両筆頭)旭秀鵬(十両2枚目)

・宮城野部屋
関取 白鵬(横綱) 石浦(前頭12枚目)炎鵬(十両14枚目)

・浅香山部屋
関取  不在

・朝日山部屋
関取  不在

★貴乃花一門

・貴乃花部屋
関取 貴景勝(前頭3枚目) 貴源治(十両10枚目)貴ノ岩(十両12枚目)
貴公(十両14枚目)

・阿武松部屋
関取 阿武咲(前頭5枚目)

・立浪部屋
関取  明生力(十両3枚目)

・千賀ノ浦部屋
関取  隆の勝(十両6枚目)

★無所属

・湊部屋
関取  逸ノ城(小結)

・錣山部屋
関取  阿炎政(前頭7枚目)青狼(十両6枚目)

■まとめ

相撲一門別に相撲部屋をみているとかつては、それほど目立つ存在ではなかった宮城野部屋が横綱白鵬のお陰でわが世の春といった感があるのに対し、かつて、朝潮や高見山、水戸泉といった強烈な個性の力士を輩出した高砂部屋が関取が一人と寂しい状況となっていることが目につきます。

一方、昨年から何かと話題の貴乃花部屋が新部屋にも関わらず関取が4人出ていることも注目すべきことです。

貴乃花部屋はいずれも若手の力士ですので、これから成長し、番付をあげてくる可能性が大きいです。

貴乃花親方は、相撲協会の鬼っ子的な存在となっていますが、弟子の育成ぶりを誇示することで影響力をあげてくるのではないかと思います。

相撲の楽しみ方として本場所や地方巡業の取り組みを通じてだけではなく、一門や部屋の動向をウオッチしていくことで、より面白みが増すと思います。