ユダヤ人が迫害されてきた理由を簡単にわかりやすく説明★迫害の最大の理由とは?

ユダヤ人が過去から現在に至るまで,主としてヨーロッパ諸国で迫害や差別を受けてきた理由・背景としては、大きく以下の4つがあげられます。

①ユダヤ教の歴史や性格 ②イエス・キリストの処刑に対する責任③経済的な成功に対する妬み

この3つの理由・背景について簡単にわかりやすく説明します。

■ユダヤ教の歴史や性格について

ユダヤ教は、人類の宗教の歴史において初めて唯一の神を信ずることで誕生・成立した民族宗教です。

アダムとイブが登場することで世界に広く知られる旧約聖書は、ユダヤ教の聖典です。

ユダヤ教の内容は、”ユダヤ人が唯一神ヤハウェから選ばれた特別の民族である”ということが根本となっています。

このような内容のユダヤ教を信じるのはユダヤ人以外にあり得ませんので、他民族からすると”ユダヤ人は鼻持ちならない民族だ”と受けとられられやすかったことは否めません。

また、ユダヤ人側にもユダヤ教を信じることを通じて、エリート意識に近い選民意識のようなものが醸成され、意図せずに他民族との溝ができやすくなり、特にヨーロッパにおいて、それが差別・迫害に結びつく理由の一つになっていったと考えられています。

選民意識とは、要するに”私たちはあなたたちとは違う”というような意識で、実際、中世のヨーロッパに多数居たユダヤ人は、”ユダヤ教の教えや行動様式・儀式”を頑なに守り、周囲のキリスト教社会と同化しませんでした。

中でも超正統派のユダヤ教徒の男性は、縦に高さがあり大きくて真黒な帽子に黒いマントに長いあごひげといういでたちで、暮らしていました。

当時のヨーロッパ社会の市民のライフスタイルからは全く異なったものでした。

ヨーロッパ社会で多数を占めていた多くのキリスト教徒からすれば、ユダヤ人は、”キリスト教を信じない異教徒のうえ、生活・習慣がまったく異なる不気味な存在”とも受け取られていたようです。

こうしたことが、ユダヤ人に対する迫害の下地となっていったことは否定できません。



■イエス・キリストの処刑に対する責任について

★ユダヤ人に対する迫害の最大の要因はイエス・キリストの処刑に対する責任がユダヤ人にあると断罪されたこと

ユダヤ教の信者であったユダヤ人のイエスは、ユダヤ教の”ユダヤ人だけが神から選ばれた”とする教えや”厳しすぎる戒律”を批判することで、当時のユダヤ人社会で急速に支持者を増やしていきました。

ユダヤ教の宗教指導者は、ユダヤ教を根底から否定するようなイエスの行動に危機感を抱きました。

やがて、当時のユダヤ支配層の反発等を背景にして、イエスは罪人とされ、結局、十字架にかけられ、死に至ります。

こうした経緯から、キリスト教徒側がユダヤ人を”キリスト殺し”として、”神から呪われた民族”として忌み嫌うようになり、このことが迫害に結びついていきました。

その後、ユダヤ人はキリスト教を国教としたローマ帝国との戦いに敗れ、当時、ユダヤといわれた国(現在のイスラエルにほぼ相当)から、追放され、世界中に離散させられました。

4世紀頃のキリスト教指導者は、ユダヤ人は、”キリスト殺し”のため、”神により離散の刑を科せられている”とまで断罪しました。

ユダヤ人に対する迫害の最大の要因は、キリスト教側がユダヤ人を”イエスを救世主と認めず殺した呪われた民族”だと捉えたことにあります。



★中世におけるユダヤ人に対する迫害

中世では、ヨーロッパ全土においてキリスト教が広まり、現在に至るキリスト教に基づく社会が形成されていました。

当時、亡国の民となったユダヤ人は、フランス、ドイツ、ポーランド、ロシア等、広範囲のヨーロッパ諸国でそれぞれの国の市民として暮らしていました。

今でこそ、グローバル時代ということで様々な人種が様々な国に住むことは、ごく当たり前ですが、当時、ヨーロッパのほとんどに市民として生活しているのはユダヤ人くらいでした。

信じがたいことですが、中世のヨーロッパで黒死病と恐れられたペストが大流行したときに、”こんな恐ろしい病気が流行するのは、ユダヤ人が毒をばらまいているからだ”と吹聴しました。

そして”ユダヤ教という悪魔の宗教を信じているユダヤ人ならやりかねない”として、多くのユダヤ人が迫害されました。

★主なユダヤ人迫害の事例

ユダヤ人に対する迫害というとナチスドイツによるものが有名ですが、それ以外にも下記のように大規模な迫害が各国で起きています。

①十字軍による迫害
かの有名な十字軍によるキリスト教徒による聖地エルサレム奪還作戦では、エルサレムを支配していたイスラム教徒に加えユダヤ教徒も迫害の対象とされました。

②スペインからの全ユダヤ人の追放
1492年には、スペインに居住していた全ユダヤ人が国王により追放

③ロシアでの繰り返された迫害
ロシア語でポグロムという言葉は、本来”襲撃する”という意味でしたが、”ユダヤ人を襲撃する”という意味に変化する等、ロシアでも何度も迫害を受けました。

近年でもヨーロッパのユダヤ教施設への襲撃、サッカーの試合中にユダヤ人選手に対して、ユダヤ人の蔑称である”ジュー”を叫ぶといったことがたびたび起きています。

★ユダヤ人による世界支配陰謀説の背景

日本を含む世界で”ユダヤ人による世界支配陰謀説”が一部で根強く、信じられている背景にも”世界支配層の主流を占めるキリスト教徒側のユダヤ人に対する差別意識”が根底にあるものとされています。



■経済的な成功に対する妬み

ユダヤ人はヨーロッパ社会ではいうなれば、”2級市民のような扱い”をされていたことで土地の所有は許されませんでした。

ユダヤ人の農民がほとんど居なかったのは、このためです。

当時のユダヤ人は医師等の自由業か商売で生計をたてるしか生きていく術はありませんでした。

その商売の中で、ユダヤ人は、当時の金融(要するに金貸し)で才覚を発揮、大きな成功を収めました。

シェークスピアの代表作の”ベニスの商人”に登場する”金貸しシャイロック”は、ユダヤ人をモデルとしたと伝えられています。

キリスト教では、”金貸し”は禁じ手の職業でした。

しかし、異教徒であるユダヤ人が”金貸し”をすることは、問題ありませんでした。

そうしたこともあり、必然的に多くのユダヤ人が金融(要するに金貸し)を手がけるようになっていきました。

現代社会において、ゴールドマンサックスやリーマンショックのリーマンブラザーズ等、巨大金融資本の多くがユダヤ系となっているのは、こうした歴史的背景があります。

”金貸し”は、時として、商売上、”取り立て”を行うこともあるため、そうした行為を通じて”ユダヤ人はがめつい、金に汚い”等のネガティブなイメージが形成されていき、それがまた、直接・間接的に迫害の要因となっていったのです。

以上のように現在に至るユダヤ人に対する迫害の要因には、色々な背景がありますが、その中で最も大きな理由はキリスト教徒側が”ユダヤ人が救世主であるイエス・キリストを殺した呪われた民族である”と断罪したことにあります。



■日本におけるユダヤ人の迫害の歴史

日本は、第2次大戦当時、ナチスドイツと同盟を結んでいましたが、ユダヤ人に対する国家レベルの迫害はありませんでした。

リトリニアの駐日大使館で外交官をしていた杉原氏が外務省の命令に背いて、ナチスドイツによる迫害から逃れるため、日本大使館に押し寄せたユダヤ人にピザを発給して多くの人を救ったことは広く知られています。

歴史的にみても、日本で反ユダヤ的な動きが国民レベルであったということも歴史上には記録されていません。

これは、日本人の大半はキリスト教徒ではないため、欧米諸国にある”反ユダヤの温床”がなかったこと、そもそも歴史的に日本人とユダヤ人との接点が少なかったこと等によるものと考えられています。

■まとめ

以前ほどひどくはないにしても、ユダヤ人に対する差別・迫害は欧米諸国で厳として存在します。

アメリカで大統領選挙が行われるごとに、ユダヤ人は大きな影響力を発揮しますが、その一方で、これまでユダヤ人の大統領も大統領候補者さえも未だかつていません。

それは、キリスト教的価値観が主流のアメリカにおいて、”異教徒であるユダヤ人の大統領は、認められない”という暗黙の了解があるからだとされています。

また、約2,000年もの間、各国で迫害されてきたユダヤ人を救済する目的でイスラエルを約70年前、アラビア半島のパレスチナの地に半ば強引に建国されました。

建国以降、それまで、比較的良好な関係を保ってきたアラブ人をはじめとするイスラム教の国々との対立が今に至るまで続いています。

このようなユダヤ人に対する迫害や対立関係は、ユダヤ教からキリスト教、イスラム教が生まれたともいえるのにお互いの宗教が近親憎悪的に仲が悪いことが大きな原因です。

それぞれが唯一神を信じる”神の問題”だけに解決・和解が困難であるとされています。

ユダヤ人に対する迫害の根本にお互いが決して譲歩できない宗教の問題があるために、今後も、何かのきっかけで、再燃する可能性は高いといえます。