プロテスタントとカトリックの違い@簡単に解説(歴史的背景から儀礼・教会まで)

日本において、キリスト教徒の信者は約1%と推計されています。

キリスト教を布教する側の観点からすると日本は”キリスト教の布教に失敗した国”とみなされています。

ですので、多くの日本人からすれば、キリスト教は、”信者ではないが、クリスマス等のイベントを通じて、何となく知っている”という存在ではないでしょうか。

でも、そこから先、キリスト教における”プロテスタントとカトリックの違い”となると大半の人がわからないというのが現状だと思います。

そこで、プロテスタントとカトリックの違いを簡単にまとめました。



■手っ取り早くプロテスタントとカトリックの違いを知りたい方のために

プロテスタントとカトリックの違いについて、厳密なことはよいので、簡単に
知りたいという方は以下のことを知っていれば十分だと思います。

①コンセプトの違い

カトリック=聖職者(神父)中心主義

プロテスタント=聖書中心主義

要するにプロテスタントは、キリスト亡き後に神の使いと位置づられている神父のような聖職者の存在を認めず、信者は聖書の前に皆、平等とする考えが特長です。

②教会・建物の違い

カトリック=大聖堂のような厳かな建物を特長としていて、パイプオルガンやキリストの磔刑像が置かれています。

プロテスタント=教会のような簡素な建物を特長としていて、十字架の他に目立つものは置かれていません。

③歴史の違い

そもそも最初はキリスト教=カトリックでした。

でも、その後、カトリックにおける聖職者の振る舞い等に異議を唱えた
マルティン・ルター(ドイツ)により、プロテスタント派が誕生、現在に至っています。

④神父と牧師の違い

神父が教会にいるのがカトリック、牧師がいるのがプロテスタントです。

⑤聖歌と讃美歌

カトリック教会ではミサで使う歌を聖歌と呼ぶのに対し
プロテスタントでは、讃美歌といいます。

⑥ローマ教皇について

ローマ教皇は、いうなればカトリック界の王様のような存在です。
プロテスタントには関係ありません。

⑦結婚・離婚について

カトリック=結婚は神の秘蹟として結びつくととらえられており、離婚は認められない

プロテスタント=結婚・離婚は、神の秘蹟ではないので離婚は自由。

⑧国による違い

・プロテスタントが多い国
アメリカ、イギリス

ちなみに過去のアメリカの大統領でカトリック教徒だったのはケネディ大統領だけです。
・カトリックが多い国
フランス、スペイン、イタリア、フィリピン

⑨教典について

教典については、カトリックもプロテスタントも新約聖書であることは
共通していますが、プロテスタントのほうが新約聖書を重視します。

⑩日本におけるキリスト教系の大学の違い

・カトリック系の主な大学
上智大学 南山大学 聖心女子大 

・プロテスタント系の主な大学
青山学院大学、立教大学 同志社大学

大学受験で上智、立教、青山学院を併願することは珍しくないですが
敬虔なキリスト教徒からすると考えられないことかもしれません。

⑪妊娠中絶について

カトリックでは、妊娠中絶を”神への冒涜”として厳しい態度で臨んでいます。
カトリック信者の家が往々にして子沢山なのは、このためです。

上記のことを知っていれば、これからどちらかの宗派の信者にならない限り、十分ではないかと思います。



■そもそもなぜプロテスタントが生まれたのか

プロテスタントは、16世紀にドイツ生まれのマルティン・ルターが始めた宗教改革運動によって生まれました。

ルターはそもそも司祭でしたが、1510年にキリスト教の本場、ローマに行った際に、聖職者の堕落ぶりに失望したのがきっかけで改革を考え始めたとされています。

具体的には”お金を払えばそれまでの罪をチャラにしますよ”的な免罪符で、金まみれとなって腐敗している聖職者の姿をみて、失望し、”そもそも聖書には免罪符のことなど書かれていない”という思いに至ったと伝えられています。

そして、1517年に免罪符反対等の95か条の提題を掲げて、宗教改革に乗り出したことがプロテスタントの誕生につながりました。

ルターの考え方は、”人間はカトリックが唱えるように善行ではなく、信仰によってのみ救いがもたらせる”ということになります。

この考えから聖書中心主義ということを導きだし、カトリックの特長である、”
教皇や神父等の聖職者と一般の信者の身分上の差・違い”を否定し、現在に至っています。



■カトリックとプロテスタントの違い(序列や儀礼)

ここでカトリックとプロテスタントの序列や儀礼に関する違いをまとめてみます。

①序列の違い

★カトリック
神>神父等の聖職者>聖書>一般信徒

★プロテスタント
神>聖書> 牧師・一般信徒

②儀礼の違い

★儀礼総称
カトリック=典礼 プロテスタント=礼拝

★祭儀
カトリック=ミサ プロテスタント=聖餐式

★儀礼を構成するもの
カトリック=洗礼、堅信、告解、聖体、婚姻、病者の塗油

プロテスタント=洗礼、堅信、聖餐

カトリックでは、婚姻が儀礼を構成するものとして位置づけられているために離婚が禁止されています。

対して、婚姻が儀礼に含まれないプロテスタントでは、離婚は個人の問題として扱われています。

■まとめ

キリスト教の特長としては、イスラム教の創始者・預言者のムハンマドのように自ら、布教活動をしたのと異なり、イエスの死後にその弟子たちが布教活動を開始したことにあります。

従って、キリスト教の初期はそうした弟子たちが”キリスト・神の代理人”的に立教・布教していくことで発展していきました。

カトリックにおける神父のような聖職者の存在は、このような歴史から生じました。

また、その当時、聖書を手に取って読むことができる信者がほとんどいなかったことも聖職者の存在が尊ばれた背景にあります。

一方、ルターが宗教改革を開始した16世紀は、現在につながる印刷技術が発明され、その恩恵で聖書が一般信者にも広く読まれるようになっていました。

ルターの宗教改革が多くの賛同を得たのは、こうした歴史的な背景も影響しています。

ただ、カトリックとプロテスタントの対立は、一時期の北アイルランドとイギリスとの抗争にみられるように厳しいものがあるのも事実です。

ですので、カトリックとプロテスタントの違いについては、関係者以外はあまり深く立ち入らずに第3者視点で教養として知っておくだけで十分だと思います。