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クルド人問題とはわかりやすく説明・解説(歴史的経緯から最新の情報まで)

2017/10/18
 
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■クルド人問題とは

クルド人問題とは、中東のトルコやイラクを中心に約3000万人いるといわれるクルド人が、独立を目的にテロ等の様々な行動を繰り返し、トルコ政府・イラク政府や周辺国家と様々な軋轢を生んでいることです。

最近では、2017年9月にイラク国内のクルド自治区において、イラクからの独立の賛否を問う住民投票が行われました。

住民投票では、圧倒的多数が”独立賛成”という結果となりましたがイラク政府は住民投票そのものを無効と主張、対立を深めています。

この住民投票については、欧米諸国も反対しています。

また、クルド人が多数住むトルコでは、クルド人の一部の過激なグループの活動により、たびたびテロ事件が起きています。

つまり、クルド人問題の核心は”各国においてトルコ人やアラブ人等の他民族から支配・統治されている現状から脱するため、”クルド独立運動”が日常的に行われ、この動きに反対するトルコやイラク政府・国家と衝突・摩擦を繰り返していることにあります。



■クルド人は国家を持たない最大の民族

①クルド人とは
クルド人が住む中東というとどうしてもアラブというイメージが強いですが、民族的な分布でみるとイラク(アラブ人が多数)、トルコ(トルコ人が多数)、イラン(ペルシャ人が多数)と様々な民族が暮らしています。

クルド人は、人種的にはアラブ人やトルコ人とは全く異なり、独自の言語であるクルド語を含めペルシャ人に比較的近いとされています。

ただ、クルド人の大半はイスラム教徒ですので、イスラム教ということでは、他民族と共通のアイデンティティーを持ちます。

人口は約3,000万人と推定されています。
人口が3,000万人もいるのに独立の国家を持たないということでクルド人は悲劇の民族といわれています。

一方、クルド人が多く住むトルコやイラクからするとクルド人問題は、人口が多いだけにその動向に神経を尖らさぜるを得ないという状況が続いています。
トルコやイラクの統治者からするとクルド人問題は数が多いだけに決して、”少数民族問題”ではないのです。

②クルド人は、なぜ、バラバラの国に住んでいるのか
クルド人はもともと、現在のトルコ周辺からアラビア半島に至るまで統治していたオスマントルコ帝国に住んでいました。

ところが、その後、オスマントルコ帝国が崩壊し、当時、中東地域周辺を植民地としていたフランスとイギリスがサイクス・ピコ協約により、旧オスマントルコの領土に人工的に国境線を引き、現在のイラク、シリア、トルコ、パレスチナ(現在のほぼイスラエル領に相当する地域)に分割しました。

ちなみにシリアとイラクの国境線がほぼ直線となっているのは、このためです。

その結果、それまでオスマントルコという単一の国で暮らしていたクルド人が現在のトルコ、イラク、シリアに分割され、欧州列強の都合により、別々の国の国民となり、現在に至っています。

■それぞれの国で虐げられるクルド人

①イラン・イラク戦争で有毒ガス攻撃で多くの死者
1980年に勃発したイラン・イラク戦争の過程で、当時、イラク領内にいたクルド人が”イランを利する行為をした”という理由で有毒ガスによる攻撃を受け、多くの死者を出しました。

②トルコでのクルド人の扱い
トルコには最も多くのクルド人が”トルコ国民”として暮らしています。
トルコ政府は”クルド人=トルコ国民”として、クルド人の存在・問題自体を認めていません。

一方、クルド人はクルディスタン労働者党(PKK)等の急進的な組織等が、トルコ国内で過激な活動を繰り返し、トルコ政府と軋轢を生んでいます。



■クルド人問題と日本

①日本政府のスタンス
クルド人が多く住むトルコは、世界有数の親日国で日本政府と様々な分野で協力関係にあることも影響して、日本政府は、クルド人問題については、トルコ政府の立場を支持しています。

②日本に住むクルド人
主としてトルコ政府からの迫害を逃れるため日本にやってきたクルド人が埼玉県の蕨(わらび)市に多く住んでいます。

クルド人の間では、蕨を”ワラビスタン”と呼ぶほどになっています。
ただ、日本政府はトルコ政府との関係から、こうしたクルド人を難民とは認めていません。

■クルド人問題は解決できるか

クルド人にとってのクルド人問題の解決は、クルド人国家の実現ということになります。

クルド人国家樹立するためには、現在、イラクやトルコの国民として暮らしている土地を土台にして独立を勝ち取ることが必要になります。

現状では、トルコやイラクが主権が及ぶ領土に”クルド人の独立国家”を認めることはあり得ません。

特にイラクのクルド自治区には、油田があるため、イラクにとってのドル箱である地域を手放すことは考えにくいです。

もし、クルド人側が独立を強行するとなるとイラクは武力を用いてでも阻止しようとするでしょう。

ですので、クルド人国家の実現は、可能性が低いと言わざるを得ません。

クルド人にとって、イラク国内にあるクルド自治区のような統治形式を維持させることが限界ではないかと思われます。

■まとめ

クルド人問題以前に国を持たない民族といえば、ユダヤ人でした。

そのユダヤ人は、第二次大戦後中、ドイツを中心とした欧州の国々で大量に殺された
ということで、世界的な同情を集め、2000年ぶりに国を再建、当時、イギリスの信託統治領であった現在のシリアに隣接するパレスチナの地にイスラエルを建国することに成功しました。

しかし、イスラエル建国の過程で土地を奪われたパレスチナ人を中心としたアラブ人と今に至るまで絶え間ない紛争が続いています。

そのイスラエルは、クルド人が国家を樹立して独立することに中東諸国で唯一賛成しています。

クルド人問題も今後の展開によっては、土地の所有権、国の主権を巡って、トルコやイラク等との間で大きな紛争を起こしかねないと思います。

中東というとイスラム国やシリアが現在、国際的な問題となっていますが、クルド人問題も大きな火種として浮上しそうです。




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